Team Building

ドラムサークルという非言語コミュニケーションを通じて、組織でのカカワリカタやそれぞれの役割について、体感し、学んで行きます。

【ドラムサークルとは?】

世界各国のドラムやパーカッション楽器を使い、文字どおり輪(サークル)になって即興音楽を楽しむ参加型の即興音楽演奏。
年齢・楽器経験・身体自由度等に関わらず、また特定の文化のドラミングではなく「その時の、その参加者によるユニバーサルなグルーヴ」を作り出すドラムサークルは、今までにない新しいコミュニケーション体験の時間です。

【どんなルールがあるの?】

ドラムサークルは、自由なコミュニケーションセッションです。特定の(例えばジェンベやコンガ)ドラミングを「習う」場ではなく、ドラムやリズム楽器を通 してより円滑なコミュニケーションを行うことを一番の目的としているのです。また、ドラムやパーカッション楽器の他にも、ことばや叫び声(!?)や踊り、または体を叩く行為(ボディーパーカッション)も立派なリズム。気分が向けばそうしたリズム表現を行ってもかまいません。

ドラムサークルにルールがあるとすれば、下のニ点だと考えます。

1 ひとり一人は違っても一緒に何かをすることは可能だ、そしてそれぞれの人が全体の欠かせない一部だと気付くこと。

ドラムサークルでは、ひとり一人が違う楽器を持って(=違う「言語」を持って)自分自身の「おしゃべり」を行います。意見を言うのが好きな人、引っ込み思案の人、ハーモニーを楽しむ人、いろいろと「音の実験」をするのを好む人・・・人の性格はさまざまです。また、同じ人でも、その日の気分によって「言いたいこと」やそれを表現する態度には違いがあるかもしれません。そうした違いを認めながら、同時に全員が「発言」し、調和(=音楽)を生み出し、ひとつのことを皆で作り上げるのが、ドラムサークルです。地球上にはさまざまな人が暮らしていますが、こうして年齢・性別 ・身体自由度・文化・言語を越えて、一緒に何かをする時間を持つことは可能なのです。

2 人の「話」をよく聴くこと。

上のことを達成するには、他の参加者の「話」=「リズム」に耳を傾けることが大切です。他者のリズムをよく聴くことによってはじめて、深いコミュニケーションが達成されます。「今日はコミュニケーションしたくない気分なんだ!」というのも、立派なひとつの意見です。そういう時はそれをリズムで「発言」しましょう!

【ファシリテーターって何? 】

ファシリテート(facilitate)とは、「楽にする、助ける」という意味。ファシリテーターはリズムや音楽を「教える」のではなく、参加者の自由な表現を助けるための「案内人」です。有名な打楽器奏者でなくとも、訓練を受けた人なら誰でもファシリテートができます。

実際にアメリカでは、知的障害者の子供や車椅子の人、耳の聞こえないファシリテーターもいて、すばらしいドラムサークルを行っています。この他には、音楽療法士・楽器教師・自助グループ関係者・打楽器奏者・打楽器以外の奏者・医療/福祉/教育関係者・各種セラピスト・企業研修担当者、コーチ等、また、障害者やこども等、さまざまな人がファシリテーターとして活躍しています。

【誰が参加するの?】

下のリストでは便宜上グループ分けしていますが、ドラムサークルの「よさ」はなんといっても、どんな年齢の人も楽器経験や身体自由度に関係なく、一緒に楽しむことができる点です。実際に、DRUMAGIKが主催する自由参加型ドラムサークルでは、長年ドラムを習っている人、妊婦さん、こども連れ、障がい者、外国人など、さまざまな人が違和感なく一緒に参加されています。

同調化(entrainment)について

1665年、オランダの科学者クリスチャン・ホイヘンスは、二つの振り子を隣同志において一定の時間が経つと、振り子はまったく同調して振れるようになることを発見し、これを「同調化(entrainment)」と呼びました。私たちの身体も例外ではありません。知らないうちに同調化を起こしているのです。その身近な例が、音楽を聞くと頭や足で調子をとってしまうことでしょう。まったく調子をとらない場合を別 として、聞いている音楽と関係のないビートで頭や足を動かすのは、じつはたいへん難しいことです。音楽療法士や神経学者の中には、この同調化を「人は、その場で支配的なリズムに同調する」「ある運動系の周期は、ほかの運動系の周期に決定される」と説明する人もいます。

私たちの身体を作っている細胞のひとつひとつは原子核の周りを回る電子の反復運動から成り立ち、体内には鼓動・呼吸・脳波等のリズムが満ち、私たちは月の満ち欠けや地球の自転・公転という大小さまざまな動きに合わせて暮らしています。また現代社会の中で私たちは、せわしない日々のスケジュールのリズム、街を歩いていてもあちこちから聞こえてくる音楽や携帯の着信音ののリズム、周囲の人々のリズム等、いろいろなリズムに取り囲まれています。そうしたリズムに私たちは知らず知らずのうちに同調化しているのではないでしょうか?

近年、リラックス状態であるアルファ波の存在が注目されています。脳は通 常、右半球と左半球は違う種類の脳波(アルファ波・ベータ波・シータ波・デルタ波)を出しながら、30分~3時間交代で中心となって働いているそうです。たまたま同じ種の脳波(たとえばベータ波)が出ている場合でも、周波数が微妙に異なったり(ベータ波の周波数は14~40サイクル)、ずれたりしています。ところが、ある特定のリズムを聞いている時、両脳半球がぴったり同じタイミングでパルスを出す場合があり、そのあいだ意識はいわゆる覚醒状態に入ります。覚醒状態の脳は左右両方の脳半球から情報を引き出すことができるため、急に何かの解決策が浮かんだり、頭がクリアに感じられたり、至福感が訪れたりするそうです。 また、欧米の医療現場では低周波音(=振動数が少ない低音=ある種のリズム)が痛みの軽減等に利用され、大きな効果 を上げています。身体内の部位によって、反応を起こす低周波音の周波数が異なることが、東洋でいう「チャクラ」の説明になるという意見もあります。

『ドラミング~リズムで癒す心とからだ』の著者である心理療法士のロバート・L・フリードマンらは同調化の理論を利用して、「心臓のリズム」のドラミングで深いリラグゼーション効果 を引き出しています。(個人の体質によって身体に悪影響のある場合があるので、医師・音楽療法士等の専門家の指導が必要。) 同調化によってリズムが心身にさまざまな影響をおよぼず理由は、以上のようにさまざまな角度から研究が進められています。

『ドラム・マジック~リズム宇宙への旅』ミッキー・ハート著、工作舎刊、1994年

『ドラミング~リズムで癒す心とからだ』ロバート・L・フリードマン著、音楽乃友 社刊、2003年

リズムの歴史とリズマカルチャーについて

【歴史の中のドラム】

世界における西洋音楽(クラシック、ロック、ジャズ、ポップス等)以外の音楽(民族音楽)は、現在でも90%を越えると言われています。人類は古代からさまざまな楽器を作って神との交流・祭り・治療・祈祷等に利用してきました。その中でも重要な役割を果 たしてきたのがドラムその他のリズム楽器です。また、ドラムやリズム楽器を持たない文化・民族は非西洋音楽でもあまり多くありません。ドラムやリズム楽器ははっきりとしたパルス(拍子)を生み出します。そのパルスが「同調化(entrainment)」を引き起こすため、古代の人々はコミュニティーの一体感の強化・儀式におけるトランスの誘発等にこうした楽器を使ったと考えられています。古代の人々は、私たちの知らないテクノロジーを使っていたんですね。

【リズマカルチャー】

古来からの文化が日常生活に取り入れられることが少なくなり、コミュニティーの結びつきが弱まり、情報へのアクセス量 の増加によってアイデンティティーが薄れている先進国諸国では、「心とからだと社会の健康」を目指した新しい文化が生まれつつあります。それがドラム・サークルの父、ア-サ-・ハル氏が提唱する「リズマカルチャー(リズム+カルチャー)」で、そのコンセプトはさまざまな著名ミュージシャンやドラムファシリテーターに評価されています。最近のワールドミュージックの人気も、その方向性が感じられますね。こちらは「ミュージカルチャー(ミュージック+カルチャ-)」というべきものでしょうが・・・ ドラムサークルでは、新しいものを生み出すことによって人と人との絆を深め、みんなで楽しむ空間が作られます。人類は古くから、音楽やダンスを使って心や社会のバランスをとってきました。そういう「あたりまえのこと」を思い出す作業が、ドラムサークルなのかもしれません。

【ドラムサークル・ファシリテーション<アーサー・ハル>】

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